注文住宅の資金計画で、最初に迷いやすいのが頭金です。「ほかの人はいくら入れているのか」「頭金を多くすると住宅ローン控除が減るのでは」「親から援助を受けると税金はかかるのか」といった疑問がよく出てきます。

このページでは、住宅金融支援機構の2025年度フラット35利用者調査の手持金のデータと、国税庁・国土交通省の制度の説明だけを材料に、頭金の平均、県ごとの差、住宅ローン控除と贈与税との関係を整理します。割合や控除額は、式と前提を添えて計算しています。

先に結論

2025年度フラット35利用者調査では、注文住宅の手持金(頭金などローン以外で用意したお金)の全国平均は、土地付注文住宅で481.1万円(所要資金5,312.9万円の約9.1%)、建物のみの注文住宅で839.8万円(建設費4,259.8万円の約19.7%)でした。ただし真ん中の人(中央値)は土地付で119万円、建物のみで463万円です。土地付では21.2%が手持金0円でした。

一般に、頭金は平均に合わせるより、諸費用と手元の予備費を現金で残したうえで、残りから決める考え方がとられます。住宅ローン控除は年末残高の0.7%で、借入が限度額を超えている範囲なら、頭金を増やしても1年目の控除は減りません。親・祖父母からの援助は、省エネ等住宅なら2026年12月31日までの贈与で1,000万円まで非課税です。

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頭金と借入額を変えて、総額と月々の返済を自分の条件で計算できます。 使えるツール: 総額シミュレーター、補助金診断、都道府県別の相場。

手持金(頭金)の全国平均と、総額に占める割合

フラット35利用者調査は、家を取得するのに必要なお金(所要資金)を、手持金・フラット35の借入・その他の借入(銀行など)に分けて集計しています。手持金はローン以外で用意したお金で、一般に「頭金」と呼ばれるお金にあたります。

調査は注文住宅を2つに分けています。土地の費用もフラット35で借りた「土地付注文住宅」と、建物の費用だけをフラット35で借りた「注文住宅」です。後者には、すでに土地がある人や、土地を別の方法で用意した人が入ります。このページでは後者を「建物のみ」と呼びます。

項目(全国平均)土地付注文住宅注文住宅(建物のみ)
件数7,733件3,889件
所要資金5,312.9万円(建設費3,737.6万円+土地取得費1,575.3万円)4,259.8万円(建設費。土地取得費の平均2.3万円は含まない)
手持金481.1万円839.8万円
手持金の割合約9.1%約19.7%
フラット35の借入4,379.0万円3,247.9万円
その他の借入452.7万円174.4万円
世帯年収742.2万円718.9万円
年齢40.1歳47.8歳

手持金の割合は、このサイトで次の式で計算しました。

土地付では、所要資金の約9割を借入でまかなっています((4,379.0万円+452.7万円)÷5,312.9万円=約90.9%)。建物のみの方が手持金が多いのは、土地の費用がかからない人が含まれることに加え、平均年齢が47.8歳と土地付の40.1歳より高いことも背景の一つと考えられます。

📌 この数字の範囲

集計の対象は、2025年4月から2026年3月までにフラット35(買取型・保証型)の承認を受けた案件です。フラット35以外のローンだけを使った人や、ローンを使わなかった人は含まれません。

手持金の分布: 中央値と0円の人の割合

平均は、一部の大きな額に引っ張られます。調査の第17表(手持金の分布)を見ると、真ん中の人(中央値)の手持金は、平均よりかなり少なくなっています。

項目土地付注文住宅注文住宅(建物のみ)
平均481.1万円839.8万円
中央値119万円463万円
手持金0円21.2%(1,636件)12.5%(487件)
100万円未満(0円を含む)47.7%27.8%
500万円未満(0円を含む)70.0%52.9%
1,000万円以上13.5%28.3%

平均と中央値は調査の公表値です。割合は、第17表の区分ごとの件数を総数(土地付7,733件、建物のみ3,889件)で割って計算しました。

土地付注文住宅では、約半数(47.7%)が手持金100万円未満で、約5人に1人は0円です。一方で1,000万円以上を入れた人も13.5%いて、この層が平均を押し上げています。

頭金がほとんどない状態でフラット35を利用した人は、少なくありません。ただし頭金が少ないほど借入額は増え、毎月の返済額と利息の総額は増えます。借入の上限や審査の基準は、金融機関ごとに確認が必要です。

📌 親からの援助は手持金に入っているか

調査の公表表には、手持金のうち贈与がいくらかという内訳はありません。なお、親・親戚・知人からの「借入」の平均は、土地付で0.2万円、建物のみで1万円でした。

都道府県別 手持金が多い県・少ない県(上位5)

調査の第1表(地域別都道府県別主要指標)から並べました。件数が30件未満の県は、少数の大きな値で平均が動きやすいため、順位から外しています(土地付で5県、建物のみで8県)。割合は、手持金÷所要資金(建物のみは建設費)で計算しました。

土地付注文住宅

順位都道府県手持金所要資金手持金の割合件数
多い1位東京都1,452.1万円8,002.8万円18.1%393件
多い2位神奈川県790.9万円6,497.0万円12.2%376件
多い3位沖縄県598.7万円6,015.9万円10.0%33件
多い4位大阪府560.9万円5,787.4万円9.7%615件
多い5位愛知県547.8万円5,830.4万円9.4%342件
少ない1位青森県185.3万円4,111.6万円4.5%88件
少ない2位岡山県231.2万円4,708.9万円4.9%85件
少ない3位宮城県257.1万円4,909.1万円5.2%145件
少ない4位長崎県257.3万円4,747.9万円5.4%72件
少ない5位山形県269.3万円4,432.8万円6.1%75件
全国―481.1万円5,312.9万円9.1%7,733件

注文住宅(建物のみ)

順位都道府県手持金建設費手持金の割合件数
多い1位東京都1,464.2万円5,131.3万円28.5%252件
多い2位神奈川県1,286.6万円5,074.0万円25.4%198件
多い3位長野県1,103.0万円4,713.1万円23.4%94件
多い4位三重県1,009.3万円4,381.7万円23.0%57件
多い5位岡山県994.5万円4,349.6万円22.9%45件
少ない1位茨城県455.0万円3,812.6万円11.9%152件
少ない2位愛媛県468.4万円3,696.1万円12.7%42件
少ない3位群馬県477.1万円3,848.4万円12.4%126件
少ない4位青森県498.2万円4,127.1万円12.1%48件
少ない5位大分県527.9万円3,867.4万円13.6%45件
全国―839.8万円4,259.8万円19.7%3,889件

自分の県の建設費・土地代・年収の平均は、都道府県別の相場で確認できます。

頭金の額は、総額と借入の前提がそろってから決める

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頭金の額と住宅ローン控除(残高×0.7%)の関係

住宅ローン控除は、年末のローン残高の0.7%を、新築なら最大13年間、所得税(引ききれない分は住民税の一部)から差し引く制度です。残高には住宅の性能ごとに借入限度額があり、超えた部分は計算に入りません。2026年入居の限度額は次のとおりです。

住宅の区分一般の世帯子育て世帯・若者夫婦世帯
認定長期優良住宅・認定低炭素住宅4,500万円(年31.5万円)5,000万円(年35万円)
ZEH水準省エネ住宅3,500万円(年24.5万円)4,500万円(年31.5万円)
省エネ基準適合住宅2,000万円(年14万円)3,000万円(年21万円)
省エネ基準を満たさない住宅対象外対象外

カッコ内は1年あたりの控除の上限(限度額×0.7%)です。次の前提で、頭金を変えたときの1年目の控除を計算しました。

頭金借入額長期優良住宅ZEH水準省エネ基準適合
500万円4,500万円31.5万円24.5万円14万円
1,500万円3,500万円24.5万円24.5万円14万円
2,500万円2,500万円17.5万円17.5万円14万円

式は「借入額と借入限度額の少ない方×0.7%」です。例えばZEH水準で頭金500万円なら、借入4,500万円が限度額3,500万円を超えるので、3,500万円×0.7%=24.5万円です。

⚠️ 控除できるのは納める税金の範囲まで

控除額は、その年の所得税額が上限です。引ききれない分は翌年の住民税から差し引けますが、最大9.75万円です。13年間の合計は住宅ローン控除シミュレーターで、制度の詳細は住宅ローン控除【2026年入居】で確認できます。

親・祖父母からの援助は最大1,000万円まで非課税

父母や祖父母から家を建てる資金をもらった場合、「住宅取得等資金の贈与税の非課税」を使うと、一定額まで贈与税がかかりません。対象は2026年(令和8年)12月31日までの贈与です。

住宅の区分非課税の限度額条件(新築の場合)
省エネ等住宅1,000万円次のいずれかを満たす: 断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上 / 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物 / 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上
それ以外の住宅500万円―

限度額は、贈与を受ける人ごとの金額です。省エネ基準(断熱等級4)だけを満たし、耐震等級2や高齢者等配慮対策等級3も満たさない住宅は、500万円の枠です。省エネ等住宅であることは、住宅性能証明書などの書類を贈与税の申告書に添えて証明します。

暦年課税の基礎控除110万円と併用できるので、その年にほかの贈与がなければ、省エネ等住宅では合計1,110万円(1,000万円+110万円)まで贈与税がかからない計算です。

これから援助を受ける場合は、贈与を2026年中に受け、2027年3月15日までに棟上げまで進める必要があります。工期が間に合うかは建築会社に確認してください。申告の手順は住宅取得資金の贈与税非課税で説明しています。

📌 非課税の援助は、住宅ローン控除の計算から差し引かれる

控除の基になる額は、「年末のローン残高」と「取得対価から、非課税の特例を使った贈与額と国・自治体の補助金を差し引いた額」の少ない方です。例えば取得対価5,000万円で1,000万円の非課税の援助を受けた場合(補助金なし)、計算に使えるのは4,000万円までです。援助を手元に残して4,500万円を借りても、超えた500万円分は控除の対象になりません。

諸費用を分けてから頭金を決める手順

調査の定義では、所要資金は「予定建設費と土地取得費の合計」です。登記費用、ローンの手数料、火災保険料といった諸費用は、定義に挙がっていません。一般に、諸費用は現金で支払う場面が多いため、頭金とは別に用意しておくと資金計画が崩れにくくなります。

諸費用のうち、登録免許税(住宅ローンの抵当権設定登記は本則0.4%が0.1%)や不動産取得税(新築住宅は課税標準から1,200万円を差し引いて3%)には、国の軽減措置があります。不動産取得税は、取得の数か月後に届く納税通知書で納めます。

  1. 総額を出す

    建物・土地・諸費用の合計を出します。県ごとの平均は都道府県別の相場、自分の条件の総額は総額シミュレーターで計算できます。

  2. 現金で残すお金を先に分ける

    諸費用、引っ越しや家具・家電の費用、入居後の急な出費に備える予備費を、先に手元に確保します。

  3. 残りから頭金を決める

    親・祖父母の援助を受けるなら、2026年12月31日までの贈与になるか、省エネ等住宅にあたるかを確認します。

  4. 借入額で返済と控除を確かめる

    調査の総返済負担率(1か月の予定返済額÷世帯の月収)の平均は、土地付で26.4%、建物のみで23.0%です。自分の借入額で、月々の返済と13年間の控除を住宅ローン控除シミュレーターで確かめます。

よくある質問

注文住宅の頭金は平均いくらですか?
2025年度フラット35利用者調査では、手持金の全国平均は土地付注文住宅で481.1万円、建物のみの注文住宅で839.8万円です。中央値はそれぞれ119万円、463万円です。
頭金なしで注文住宅は建てられますか?
同じ調査では、土地付注文住宅の21.2%、建物のみの12.5%が手持金0円でした。ただし頭金が少ないほど借入額が増え、毎月の返済額と利息の総額は増えます。
頭金を多く入れると住宅ローン控除は減りますか?
控除は年末残高(借入限度額まで)の0.7%です。借入が限度額を超えている範囲なら、頭金を増やしても1年目の控除は変わりません。限度額を下回ると、減った借入の0.7%だけ控除が減ります。
親からの援助はいくらまで非課税ですか?
2026年12月31日までの贈与なら、省エネ等住宅で1,000万円、それ以外の住宅で500万円までです。父母・祖父母などが対象で、配偶者の父母は対象外です(養子縁組をしている場合を除く)。非課税でも翌年3月15日までに申告が必要です。
諸費用も頭金に含めて考えるべきですか?
調査の所要資金は建設費と土地取得費の合計で、登記費用やローンの手数料などの諸費用は定義に挙がっていません。一般に諸費用は現金で支払う場面が多いため、頭金とは別の枠で用意しておくと安心です。

まとめ

参考情報・データの出典